最終更新:ID:ALv0e86LXA 2023年03月11日(土) 23:23:18履歴
⠀ 伊地知ニジカ(クリスマス・ニジカ)
リョウ!リョウ!
⠀とある一匹の伊地知ニジカ、それはクリスマスの奇跡。
⠀見た目、習性共に通常の伊地知ニジカと何も変わらない。しかしこのニジカは通常のニジカと違い、伊地知虹夏本人の身体から誕生したのが確認されている個体である。
⠀不慮の事故に遭い、頭部以外の全器官が機能しなくなった虹夏は医者の独断により虹夏の胴体と近しい機能を持っていたらしい鹿の胴体と合成させられる。だがそんな手術が上手く行く訳もなく、虹夏は記憶障害及び人格喪失状態となってしまった。
⠀虹夏の容態を確認する為病院へ来院していた山田リョウに対し、医者は一切の責任感も無しに自然に返す事を勧めた。
⠀しかしそんな状態になってしまった虹夏ともリョウは共に過ごす事を決断する。記憶障害状態のニジカはリョウの事も認識出来ず、通常のニジカの習性通り鳴き声を挙げては動き回ったり喜多煎餅を見ては喰らいに行ったりするばかり。
⠀だがしかし、クリスマスの夜。一つの奇跡が起こった。
⠀いつも通り、悲しみながらもニジカと過ごすリョウ。リョウはニジカに愛の言葉を捧げる。
「にじか……好きだよ……」
⠀その言葉を聞いた途端、ニジカは足を止め、一つの行動に出た。
「リョウ!リョウ!」
⠀ニジカが、虹夏がリョウの名を呼び出したのである。
⠀「ぬ゛〜゛ん゛」でも「ぼっちちゃーん!」でも「逃げたギター!」でも無い、通常のニジカなら絶対に放つことのない言葉。
⠀記憶を完全に取り戻したのかも、人格が元に戻ったのかもわからない。ただ、ニジカがリョウの名を呼んだ理由。それは虹夏とリョウの間に、確かな愛があったことだろう。
⠀2人はやがて、サンタ帽を被りながらイルミネーションの輝く街の中へと消えていった。2人の行く未来に幸あらん事を。
このページへのコメント
消えてるじゃん…
マジで泣いた
感動〜!
これほんとすきなんよな
これ泣いた